室町通錦小路上ル山伏山町
この名は山に飾る御神体(人形)が山伏の姿をしているのでこう呼ばれる。昔、法観寺(ほうかんじ)の五重塔(八坂の塔)が傾いたとき、法力によって直したという浄蔵貴所(じょうぞうきしょ)という高名な修験者(山伏)の大峰入り(山伏達が修行のため、紀伊山地の山間部に入っていくこと)の姿をあらわしている。左手に刺高数珠(いらだかじゅず)、右手には斧を持ち、腰には法螺貝をつけている。欄縁(らんぶち)金具は飛鶴、水引は機織(きしょく)図を描く綴錦(つづれにしき)、前懸(まえかけ)は雲龍文様の刺繍、胴懸(どうかけ)は花卉胡蝶文様(かきこちょうもんよう)の綴錦を用いている。見送(みおくり)は龍波濤文様(りゅうはとうもんよう)の綴錦で、1999年(平成11年)に復元された。()
巡行の数日前より聖護院の山伏達の巡拝があり、また八坂神社からの清祓(きよはらい)とともに六角堂から法印の祈祷も行われ、神前に供える三宝も仏式の黒塗のものが用いられている。1902年(明治35年)には元治の大火で焼失した菊水鉾(きくすいほこ)の旧懸装品や房類が寄贈され、波濤(はとう)に龍文様絽刺(ろざし)の見送は官服直しのもので現在も大切に保存されている。()