御祭神は本殿に日本武尊(やまとたけるのみこと)、権殿に大己貴命(おおなむちのみこと)を祀る。近江國一之宮。神仏霊場滋賀１３番。
御祭神日本武尊(やまとたけるのみこと)は１６才にて九州の熊襲(くまそ)を誅し、更に東夷を平定、遂に３２才にして伊勢の能褒野(のぼの)で崩御となったが、父の景行(けいこう)天皇は尊の永逝をいたく歎き、名代として建部を定め、その功名を伝えたと日本書紀に記されている。()

１１６年（景行天皇４６年）神勅により日本武尊(やまとたけるのみこと)の御妃布多遅比売命(ふたじひめのみこと)が、御子稲依別王(いなよりわけのみこ)と共に住んでいた神崎郡建部の郷に尊の神霊を奉斎したのが当社の草創であって、その後６７５年（天武天皇白鳳４年）当時近江国府の所在地であった瀬田の地に迂祀し、近江一宮として崇め奉ったのが現在の当大社である。()

平治物語には、源頼朝が平家に捕われ、１４才にして伊豆に流されるため、京都から関東に下向の折、１１６０年３月２０日当社に参篭して前途を祈願した事が記されている。そして遂に頼朝は源氏再興の宿願成って、１１９０年１１月右大将として上洛の際、再び社前で祈願成就の神慮に対し、幾多の神宝と神領を寄進して奉賽の誠を尽くしたとのことである。ゆえに当大社が出世開運、除災厄除の神として広く崇敬され、ほかにも商売繁盛、縁結び、医薬醸造の神としても敬われている。()

１９４５年（昭和２０年）８月、日本で最初の千円紙幣に日本武尊の肖像画と建部大社の本殿が用いられた。
発行された枚数が極めて少なく幻の千円札といわれている。()

（下）大野神社　建部大社がこの地に遷し祀られる以前に、この地域の地主神として祀られていた神社。御祭神は草野姫命(かやのひめのみこと)。氏子の方々にとっては本殿に続き、必ず参拝される特別な神社という。()