御祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)の御子神(みこがみ)である宗像(むなかた)三女神で、沖津宮(おきつぐう)に田心姫命(たごりひめのみこと)、中津宮(なかつぐう)に湍津姫命(たきつひめのみこと)、辺津宮(へつぐう)に市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀り、この三宮を総称して宗像大社という。()

辺津宮(へつぐう)
御祭神は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を主祭神とし、広大な神苑には本殿を中心に儀式殿、高宮祭場、第二宮・第三宮、祈願殿、そして国宝８万点を収蔵する神宝館などがある。（神宝館は拝観料８００円要）

宗像三女神のうち、長女神（沖ノ島）と次女神（大島）ははるか玄界灘洋上に鎮座されており、往古より総社である当地・辺津宮(へつぐう)を第一宮(ていいちぐう)と称し、その境内地に両宮の分霊を祀った。そして第二宮(ていにぐう)と第三宮(ていさんぐう)まで詣でれば、沖津宮(おきつぐう)と中津宮(なかつぐう)まで、つまり宗像三宮を拝したと信仰されてきた。
宗像三女神は「古事記」「日本書紀」にある通り、天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔嗚尊(すさのおのみこと)との誓約(うけい)の際に、天照大神(あまてらすおおみかみ)の息吹(いぶき)より誕生された。()

（右上）本殿・拝殿　現在の本殿・拝殿は、１５５７年に焼失したものを、本殿が１５７８年、拝殿は１５９０年にそれぞれ再建したもので、国の重要文化財に指定されている。
本殿は桃山時代初期の特色でもある優美な五間社両流造りで、拝殿は屋根を左右二面に本を伏せたように葺いた切妻造りである。()

神勅(しんちょく)　天照大神(あまてらすおおみかみ)が宗像三女神を高天原(たかまがはら)から筑紫の国にお降したが、その時に授けられた勅命である。
「汝三神(いましみはしらのかみ)　宜しく道中(みちのなか)に降居(くだりま)して　天孫(あめみま)を助け奉り　天孫(あめみま)に祭(いつ)かれよ」と示され、皇室の繁栄を祈ることが、国民の繁栄に通ずる道であることを明示した。この神勅額を宗像大社では三女神鎮座の根幹として、宗像三宮それぞれの拝殿に掲げている。()

（右上）高宮祭場(たかみやさいじょう)　宗像大神「降臨の地」と伝えられ、沖ノ島と並び宗像大社境内でも最も神聖な場所の一つである。神籬(ひもろぎ)（樹木）を依代(よりしろ)としており、社殿が建立される以前の神社祭祀（庭上(ていじょう)祭祀）を継承する全国でも稀な静寂に抱かれた祈りの空間である。()

（左上）第二宮(ていにぐう)・第三宮(ていさんぐう)　第二宮(ていにぐう)に田心姫命(たごりひめのみこと)（沖津宮(おきつぐう)）、第三宮(ていさんぐう)に湍津姫命(たきつひめのみこと)（中津宮(なかつぐう)）の分霊を祀り、宗像三宮を参拝できるようになっている。
現在の社殿は、１９７５年（昭和５０年）の第６０回神宮式年遷宮に際し、内宮別宮である伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)、伊佐奈弥宮(いざなみのみや)の社殿を特別に下賜されたもので、唯一神明造りである。()

「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群　２０１７年に世界文化遺産に登録。
沖ノ島とその周囲にある三つの岩礁（小屋島(こやじま)、御門柱(みかどばしら)、天狗岩(てんぐいわ)）、大島の中津宮(なかつぐう)と沖津宮遥拝所(おきつぐうようはいじょ)、本土の辺津宮(へつぐう)と新原(しんばる)・奴山(ぬやま)古墳群の８つの資産で構成されている。()