その華王院を開き、高野山の発展に尽力した僧・覚海の伝説が残っている。 覚海は生前、自分の前世を知りたいと、空海とお釈迦様に願っていたという。すると亡くなるときに、様々に輪廻転生してきたことや、次は天狗になって秘密の法を護ると告げられた。そしていよいよ亡くなるとき、覚海は中門の扉を翼にして、山門の前にある杉の木から昇天し天狗となり、今でも天から高野山を護っているという。 覚海には、他にも高野豆腐の由来になったともいわれる逸話がある。ある日、明朝の味噌汁の具にする豆腐を、小坊主が冬の夜道の中、途中でうっかり落としてしまった。翌朝見つけたものの、凍っていて誰も食べようとしない。その中で覚海は「これもおつなものだ」と凍った豆腐を食べた。この凍った豆腐が凍り豆腐、転じて高野豆腐のもととなったといわれる。
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